アニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


今作と似た様な系統の作品として直近で言えば「後宮の烏」や「虚構推理」がありますね。
最近は流行っているのかね…、そんな「怪奇+推理物」な作品(「虚構推理」は推理物か怪しいところですが…、「虚構推理」は推理・ミステリー物というより「化物語」的なミステリー・サスペンス系(サスペンスの重み大きい)が近いかも)。

 

 

上述した三作品(今作「アンデッドガール・マーダーファルス」、「後宮の烏」、「虚構推理」)の中で言えば俺は「後宮の烏」が一番好きかな。

いやね、「後宮の烏」が一番真面目に「怪奇+推理物」やってると感じるからなのよね。
他の二作品はバトル要素が邪魔してるのよね…。下手したら「怪奇・異形バトル物」になっちゃってるのよ、バトル要素が強くなり過ぎちゃってるのよ。

 


で、今作「アンデッドガール・マーダーファルス」はバトル要素が邪魔というか強く出過ぎちゃってるのが駄目。
特にあの白服の戦闘集団要らんやろ…。あいつら居らんかったら…モリアーティ側だけだったらまだ良かったのだけど…、何故バトル要素を強めてくるのかね。
推理物やるのならさぁ問答無用で暴力でねじ伏せてくる様な輩を入れる必要ないやろ、戦闘要素不要だろ、と感じる訳なのよ…。

 

(第2話でホームズの名前が出てきて、あぁそういう世界観(ホームズが実在する世界)なんだと思ったのですが、バトル要素強く出過ぎるとホームズが出てくる意味も弱くなる(ホームズが活躍できない・暴力でねじ伏せられる)だろうと考えられるのですよね)

 

 

 

その他にも構成、見せ方等でいろいろと問題があります。


まず、「推理物」であるはずの本作の見せ方としての問題があります。
それは第1話と続く第2話の構成の問題。

前情報なんもなしで俺は観始めたのですが、第1話を観た限りでは俺は推理物とは微塵も思わんかったね。怪奇・異形冒険譚みたいなお話かと思ったよ。
それが第2話では推理色を前面に出してきて。。。え?この作品って推理物だったの?と第2話になって始めて認識したからねぇ…。

 

いや、これ原作どうなんだろ?原作通りのお話の構成なのかね?
普通、物語の第1話って作品の方向性、作風等を示す重要な回であるはずなのですが…、この作品のメインである(と思われる)ミステリ・推理要素を第1話でなく第2話で出してくるなんて…、これお話・物語の構成として失敗してるよ、と感じるのです。

 

 

当たり前に制作するならば、これは第2話~に当たるエピソードの吸血鬼編から(第1話として)始めるべきなのよ。
で、時系列は前後するけど第1話の内容~探偵と助手の出会い編~を後からやる(よくある手法としては最初の出会い編を最後(最終話)に持ってくるパターンが多いですね)パターンが正解だと思うよ。
それであれば、第1話からしてこの作品は推理物である、とはっきり示す事が出来る訳なのですよ。
それか、第1話のAパートで出会い編をやってBパートで推理物としての推理パートを見せて終わるとかの構成にしないと、第1話と第2話で作品の方向性・作風が変わる様な構成って駄目なのよ…、、、
第1話という物語の導入部分/説明部分(方向性・作風)の重要性を理解していないシリーズ構成がダメなのよ、というお話。
(まぁ原作小説の場合はもしかたら序章みたいな感じで1巻の冒頭数十ページだけで探偵と助手の出会い編を描かれているだけで、残りページでしっかり推理物をやっている構成なのかもしれませんがね…(未読なので分かりませんが)。

「小説1巻」としてみるなら構成として纏まっているけど、「アニメの第1話」として観た場合は推理物という色を出さずに話数を跨いで第2話で推理物と示すという構成は駄目・NGと考える訳なのです)

 

 

 

そして次に、強さ設定の問題もありますね。

津軽の強さ設定がよう分からんのです。
津軽は攻撃力は最強(不死も殺せる)という説明がなされます、しかし防御は人間と変わらんみたいな説明も…。
銃で撃たれれば普通に死ぬみたいな話だったのですが…、作中でのバトルで結構敵からの攻撃喰らってるけど…頑丈なのよね。
最初の説明と「矛盾」を感じる訳ですが…、どういう事だろ?作中の設定内で納得できる様に考えるなら、不死の唾液摂取する事でちょっと頑丈になってたり若しくは再生能力が強化されてたりするのかな?
(どうでも良いですけど、この作品は津軽が最強の矛なら不死の探偵は最強の盾というコンビになっているんですよね…、でモリアーティはそれを一つの生命体にしようとしている)

 

 

他には、不死探偵のお付きのメイド姉ちゃんの強さの見せ方が失敗してるというか…、
第1話で津軽に負けて、戦闘集団の吸血鬼とのバトルでも負け、と今作中で1回もバトルに勝ってないから弱いイメージなのよね。
ホントはちゃんと強いという設定なのでしょう?だとしたらその見せ方に失敗していると思うのよ、負けてばっかで最後まで弱いイメージしかなかったからね…。
やっぱこの作者は変にバトル要素入れずに推理物だけで真面目にやっとけば良いと思う訳なのですよ…。

 

 

 

あとはキャラの深掘りについてというか…。
津軽の飄々とした感じは観ていて面白いのですが、なんかその真意が分からんのですよね。
その口ぶりが軽妙・軽やかなだけに上っ面だけで本心では何を考えているのか分からん、という感じなのですよね。
津軽のモノローグを入れたり、津軽が本気で焦ってる・心配しているみたいな本心が垣間見える描写が欲しかったかな、と。

 

 

 

鳥籠使いの面々は観ていて楽しいのですが、バトル要素がつくづく邪魔だと感じる残念な造り(不死探偵はバトルでは絶対活躍できんからね)。
なぜ怪奇+推理物を真面目にやらんかね(バトルは必要最低限で良いよ)。

 


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上