漫画「シャングリラ・フロンティア クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす」 ~感想

漫画「シャングリラ・フロンティア クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす」を一気読みしました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


ちょっと前に、マガジン系の原作漫画作品のなんかがアニメを放送してた時に流れていたCMでこの作品の事は知っていました。
この「シャングリラ・フロンティア」が~マガジン史上初の読者アンケート4冠を達成した~という紹介のされ方をしていて(4冠の詳しい内容は分からないのですが)
「へぇ~マガジンで史上初…、という事は最盛期の『はじめの一歩』より面白い作品なのか…」(自分の中の一歩最盛期は「鷹村VSブライアン・ホーク戦」ですね)、
とさぞかしワクワクドキドキを感じる様な面白い作品なのだろうと期待していたのですが……
とても最盛期の一歩を超える様な面白さは感じられず、「史上初の4冠」って肩書なんなんだ?と凄い肩透かしを食らいました。
…想像するにおそらく、原作のWeb小説の人気が元々高い作品の様なので、メジャー漫画誌へ連載が決まった際に原作ファン(主にネット民)が「箔をつけてやろうぜ」的なノリで1位にしたんじゃなかろうか(ネットの人気投票なんかで良く見られる悪ノリの一種)…、
実を伴わない肩書なのではと考えています…もしこの想像が真実だとしたら(そう考えないとあの内容で「史上初4冠」は全く「納得」がない)、そういうの逆効果よ。。。ホントのファンならちょっと考えようね、と感じます。


で、漫画の内容についての感想ですが、既刊6巻分までの評価は「可もなく不可もなく」となります。

別に悪くはないけど良くもない…設定は良く作られていると思うけど、お話そのものに面白さを感じない…キャラも弱い(今のとこ主人公のキャラも表面的なキャラ付けしか見えない)…、
とこの「シャングリラ・フロンティア」(以下、シャンフロ)と同じタイプの作品知ってるぞ…これは「魔法科高校の劣等生」でも同じ様な事を感じましたね。

この「シャンフロ」の作者はおそらく「魔法科~」の作者と同じ、「設定からお話を創るタイプ」ですね。
そのため、設定は充分練られていて良く出来てるけどキャラやお話そのものは弱い、と感じる造りなのよね。。。

 

ホント、6巻まで読んで大した盛り上がりを感じられないこの作品が「マガジン史上初の4冠」と言われても全く納得がなく、
やはり既存の原作ファン・ネット民がネットで呼びかけでもして普段マガジンを買わない様な人達が結託してアンケートに回答した結果なのかなと思わざるを得ないのですわ…。これから面白くなるのかね?

 

設定の作り込みだけでなく、キャラ造り、話の構成、魅せ方も巧い「オーバーロード」(小説版ね)と比べるとどうしても見劣りするんですよね、この「シャンフロ」は…。史上初!なんてハードル上げてるのもあって余計に…似非ファンが余計な事してる(と感じる)せいでね、本当のファンならこういう事やめたが良いよ…。


まぁ原作のお話そのものについてはともかく、作画は良いですね。画も綺麗だし漫画としても見せ方もカッコ良く、面白く描かれています。これを週刊連載でやれてるというは凄いですね(自分はコミックスしか買っていないのでもしかしたら本誌とコミックスでの加筆修正の違いはあるのかも知れませんがね)


また、原作の内容についてもう少し話をすると、「クソゲーハンター」としての能力についてちょっと疑問があります。
クソゲー」って超絶不親切仕様・理不尽仕様だったりバグだったりで、常人はゲームを序盤から進行させる事すら困難なゲーム、というイメージがあります。
そしてそんなゲームを攻略するには、システムの穴やバグを利用したりして(敵の攻撃が当たらない安地ポイントの発見やバグを利用した防御であったり攻撃であったりを駆使して)、通常プレイでは決してできない様な強引な進め方(攻略)を行うスタイルであると認識しています。

 

そこにはプレイヤーの超絶スキル(テクニック)が要求されるという事は理解でき、クソゲーハンターである「シャンフロ」主人公がそのスキルを持っている事には納得するのですが、
「シャンフロ」の物語中で主人公が見せるのはその超絶技巧だけ、なんですよね。。。
クソゲーハンター」だからこそ持っているスキル・テクニック…例えばそれは、先に述べた様なシステムの穴やバグを見つける「能力」、が見えないのですよ(シャンフロのゲームは良ゲー設定でバグはなさそうなので、システムの穴…開発者が思いもしなかった操作方法、アイテム利用方法等を考え付くといった様な「発想」を見せて欲しいのよ)。

いやね、ただ「超絶技巧」を持っているだけのプレイヤーなら「良ゲー」にも居るでしょ…。
「良ゲー」トッププレイヤーと「クソゲー」トッププレイヤーが「良ゲー」で勝負したら「クソゲー」プレイヤーが圧倒的に強いの?
「良ゲー」を始めて数ヶ月?の「クソゲー」トッププレイヤーは何ヶ月?何年?も「良ゲー」をやり込んでるトッププレイヤーが倒せなかった敵を倒せるほどに
実力差があるという事なの?いやいや、そんな事ないでしょう、「良ゲー」トッププレイヤーにも超絶技巧を持ったプレイヤーは居てほぼほぼ互角の実力を持っていておかしくないでしょう。
そこに違いがあるとすれば先に述べた様なシステムの穴を見抜く能力(敵の行動パターンを解析する能力とは全く別ベクトルの能力)だと考える訳ですよ。
(あと違いがあるとすれば、どんな理不尽な仕様でも諦めずに何度も挑戦し最後まで成し遂げようとする意志、ですかね)

 

しかし、物語中の主人公は超絶技巧しか見せる事がないのです(あとは敵の行動パターンを解析する能力ですが、これは別に「良ゲー」トッププレイヤーが持っていてもおかしくない能力ですからね。。。「クソゲーハンター」である必要がないのですよ)。


もっと、今まで誰も(開発者でさえも)思い付きもしなかった方法で難局を打開するという様な「クソゲーハンター」ならではの攻略法を見せて欲しかったのですがね…それが感じられなかったのが残念、というか物語の展開に「納得」がない~クソゲーハンター主人公として意味合いが弱い部分~となっていて面白さが感じられなかったのよね。

 

 

でも本当に設定は作り込んでるなと感じるので(この作り込み様はホント「魔法科高校の劣等生」の作者と同じものを感じますね)、
設定好きなところのある自分としては好感ポイント高いので、これらの設定が活きてくる?今後の展開に期待したいと思います。


以上