アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女(第1シーズン)」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(第1シーズン)を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


放送期間中「~水星の魔女」は「ウテナ」だという評判を聞いていたのでウテナ好きというか幾原好きの俺は期待に胸膨らませて視聴開始したのですが…、
どこがウテナ?決闘システムや女性同士のパートナーの事を指して言ってんの?それだけ?いや、せめてパートナーのどちらかのキャラがウテナやアンシーっぽかったらまだ分かるけどどちらも全然違うし…いったい誰がこの作品のどこを見てウテナだと言い出したんだろ?全く納得がない。。。

 

ウテナ味ってストーリーや展開で感じる物じゃないんだよ…、映像演出・表現から感じる幾原邦彦の世界・幾原イズムなんだよね…。
なんかwikiウテナのストーリーや設定をサラっと見ただけの奴が「~水星の魔女」は「ウテナ」だとか言ってんじゃないの、そんな気がする。。。世間の評判って当てになんないね…。

 


ウテナ味(の納得)を感じられなかった事にガッカリしながら観進めると、物語の設定で納得できない事がちらほら。
まず学園の決闘システム。
シミュレーターではなく実機で決闘って…私的な決闘でいくら(お金)使ってんだよ…損傷した機体の修理費とかどうなってんの?学校持ちなの?個人で(しかも学生・子供が)でどうこう出来る金額ではないと思うけど、と決闘システムが許されている事・成り立っている事に納得がないのです。

またその決闘も第1話では学生に危害が及びそうな場所で構わずやってるし死人が出てもおかしくない状況でしたよ、ホントなぜ許可されてんだろうね(決闘を取り仕切っているのは生徒会みたいな連中ですがいやいやいや金銭面でも安全面でもどう考えても学園上層部の大人が取り仕切るべきでしょ…)。


あと気になったのは決闘中に周りに被害を出さない様にするためのビームを弾くバリアの様な非実体の障壁が展開されていたのですが、あの技術なんなの?どんな技術なの?
学園に配備されるくらいだから実戦でも運用されてる技術なのだろうね…ビーム兵器を無力化する技術が実戦で運用されている世界、という認識で良いのかな?

 


続いて、株式会社ガンダムでの義足実験について。
二足歩行のロボが当たり前に運用されている技術レベルの世界であのテスト意味あるの?歓声上げて喜ぶほどの事なの?という疑問…世界観(技術レベルの設定)に納得がないのです。
いや、おそらくガンド(パーメット)というこの世界の特殊素材を使った義足のテストなのでしょうけど見せ方が下手というか納得が感じられる様なお話、画が作られていないのが問題なのですよね。。。

 


他には「学園」そのものの存在意義について。
学園はモビルスーツ製造企業が運営している様ですが(軍需企業?ではあるっぽいですが)国や軍の運営ではない(あくまで一企業の運営)みたいです。
世界は現状平和というか戦争は起きていない様なのですが(火種は抱えてるっぽいが)それならパイロット科は何の目的で開設されてるんだろうね?
(軍人を育成するのではないのなら何の目的のため?まさか「パトレイバー」の一般レイバーの使用目的の様な土木・建築作業用のための人材を育成してる訳でもあるまいし…謎だわ・納得がないわ。
学生たちの様子を見るに軍人に・人殺しになるために覚悟を持ってパイロット科に居る感じには見えないのよね…これは最終回のミオリネの「人殺し」のセリフにも繋がる事ですが、人を殺す兵士・軍人になるためのパイロット科ではないの?と疑問なのですよ。

 

 

細かい疑問は他にもまだありますが、
次は本質というか作品全体の構成・設定について納得がない点について。

 

この作品「ガンダム」ではない…ですね、今のところ。
ガンダム」の物語って「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 感想」でも語ってるけど「人と人との争い…虐げられた人々、人種、民族の誇り・尊厳、自由や独立を懸けた戦い」だと考えています。

 

それが…まだ第2シーズン以降のお話があるとはいえ、第1シーズンは学園でこちょこちょやって、あとは一企業内の権力争い・謀殺が企てられるというのを見せられるだけの内容でした。
(学園内のお話で地球人蔑視の火種を抱えている描写があり今後戦争に発展するのかも分かりませんが…)


人と人との戦い・戦争を描かないガンダムでしたが、まぁGガンみたいなノリの作品と思えばそこはまだ納得できるかなぁ(ゲーム・競技みたいなノリですが一応Gガンも代理「戦争」ですがね)。

しかし不穏の種は蒔かれてるようで今後は戦争展開になるのかもしれませんが、果たして人間対人間の重いドラマを描くべき時間を割いてまで1クールを学園編に費やす意味がある構成になっているのか…(俺は大河内脚本を信用していないから、多分1クール費やすまでの価値はなかった(6~7話で充分)と後で(全クール観終わって)断じる事になると確信してる)。

 


大河内脚本について。
ウテナ」のノベライズを大河内一楼がやってたからって『「~水星の魔女」は「ウテナ」』だとはこじつけもイイとこだよ(TVアニメのシリーズ構成やってたならまだしもね)。
それよりも素直にコードギアス味を強く感じるよ。
それは、ミオリネが父親や主人公の母親から「お前は何も持っていない、全て与えられて物だ」的な事を言われたのを観たとき、
コードギアス」でルルーシュブリタニア皇帝に同じ事を言われてるのを思い出しそう感じましたよ。

(大河内脚本のギアス関連でついでに述べておくと、トゥイッターでトレンドになっていた「血染めのユフィ」、「父親殺し」について。
…いやいやいや、状況が全然違うじゃん、関連付けんなよ!ほんとウテナといいギアス関連といい脚本家やノベライズ担当が一緒だからって無理くり関連付けんなよな!
「血染めのユフィ」というトレンドを一気観前にトゥイッターで見てしまったので身構えていたのですが…全然違うじゃん!適当な事をトレンドに上げんな!と腹立ちましたよ。

 

コードギアス」の場合、自分の意思に反して・ギアスで信念を捻じ曲げられて虐殺を行なったユフィ、そしてユフィが討たれてその今際の際に、日本人は喜んでくれたかと最期まで心の底から案じながら逝くユフィと、片や当の日本人はユフィの死に歓声を上げるという悲劇性が描かれているんですよね。

 

「~水星の魔女」の方はというと、スレッタは別に自分の意思に反して殺しを行ったという訳でもないし(この件については後述します)、そこに悲劇性もないので全く「血染めのユフィ」というのが適切でないんですよね。ホントなんだろ?血だらけの画だけみて関連付けてんの?何じゃそりゃと呆れるばかりよ。。。


「父親殺し」についても自覚的に父親を殺したスザクと無自覚のグエルでは全く状況が違うし、と全く的外れな・意味不明な・納得のない関連付けになっているのですよ。
(ホントこんな意味分からん関連付けするのは「~水星の魔女」のファンでも「コードギアス」のファンでもない上っ面を撫でただけの様な奴ですよ)

 

…それとトゥイッターのトレンドついでにもう一つ。

ダブスタクソ親父」というのが話題になっていたのは知っていたのでどういう流れでその言葉が登場するのか楽しみに待っていたのですが…なんだこれ、、、普通の・当たり前の会話の中のセリフじゃないか、つまらない…とガッカリでした。ホントにトレンドワードおかしいよと感じる。これがもし「ダブスタ」という言葉をこのアニメ作品で新しく造った略語というのならばまだトレンド入りにも納得しますが「ダブスタ」は既存の言葉だしそれとクソ親父を合わせただけのなんの面白味もないワード。なぜトレンドになっているのか全く納得がない。

いやね、特殊な・独特な言い回しをしているというのならばトレンド入りも分かりますよ。例えば、同じ大河内脚本で言えば「コードギアス」の中の「全力をあげて見逃すんだ!」や「おはようございました」(これは一部地域で普通にあるらしいけど)や「後ろをバック」のセリフ等であればトレンド入りも納得するのですがね…。

)

 

ノベライズ担当という近くない繋がりで無理くり「ウテナ」と繋げるよりも大河内一楼シリーズ構成のアニメ作品「機動天使エンジェリックレイヤー」の方が似てると感じるよ…それは「水星の魔女」のガンド(パーメット)を用いた義肢設定とエンジェリックレイヤー技術を用いた義肢設定…ほぼ同じ技術設定だと感じる…大河内繋がりなら「エンジェリックレイヤー」の方が断然「ウテナ」より近いのよ。

 

 

 

で、上述したスレッタの殺人についてと妄想という名の考察を少々。
最初は母の行なった殺人に忌避感を見せていたスレッタですがその後、母の言葉により殺人を肯定する様に急変します。
これを見て思ったのはスレッタは人間じゃないのかもなぁ…、AIや生体コンピュータみたいな物かも、という事でした。
正確に言うと脳が普通の人間とは違う、完全な造り物もしくは部分的に機械化している脳を持っているのかも…、
それこそガンド(パーメット)を用いた義肢の様な感じの脳みそバージョン(脚や腕の代替ではなく脳の代替としてのガンド)を搭載されてる、とかね。だからこそガンダムの精神汚染・呪いにもかからないという事なのかもと考えています。


しかし、仮にこのAI・生体コンピュータ設定があったとしてそれが今後どの様に人間対人間の戦争(俺が考える「ガンダム」のフォーマット)に繋がる・活きるのか分かりませんがね…(今の段階で人間対AIの戦いにはなるとも思えんし)。
今後どのように展開するのかね…、

 

 

最終回のスプラッタシーンが話題になっている様ですが、大河内陰惨脚本からすればまだまだ序の口ですよね。「甲鉄城のカバネリ」感想で書いたけどストーリー展開上意味がない(必須ではないのに)年端も行かない子供を殺すような、また母親ごと胎児を殺すような脚本家だからね(また、別作品では人間爆弾の話を書こうとして、それはやりすぎと富野監督に止められたくらいだからね)。まだまだより凄惨な気分悪くなる様な陰惨シーンが出てくるよ、きっと。。。

 

 

第1シーズンの時点で既に色々と納得がない部分が出てきているのであまり期待せず第2シーズンを待ちたいと思います(設定、脚本・構成はともかく作画・演出は良いですね)。

作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

以上