「メイドインアビス」 ~ワズキャンについての考察

俺的に不作だった2022年アニメの中での数少ない「良」アニメ作品…「メイドインアビス 烈日の黄金郷」。
アニメ感想でも述べた事ですが、「劇場版~深き魂の黎明」を観て続けざまに「~烈日の黄金郷」を観たんですよね。
なんかそこで「メイドインアビス」の作品世界に引きずり込まれちゃったんですよね…。

 

いやね、1期の頃はそんなに物語に惹かれてない感じだったのだけど「~黎明」から「~烈日」までを観て改めてこの作品すげぇな、この作品・世界を創り出した作者天才だなとハマっちゃんですよね。
(1期と比べてリコ・レグと他者との関りがより深く・エグくなったのが違いですかね…ナナチ・ミーティの話はエグいけど過去話だし、オーゼンはなんだかんだで優しいイジワル婆さんですからね)

 


で、原作漫画も読みたくなって既刊11巻まで購入しましたよ。
カバーイラストのカラーなんかを見てその書き込み具合や陰影、色の付け方、重ね方がホント凄いなと。
この細かさ・丁寧さがそのまま作品世界の細かさ・深さに繋がっているのでしょうね。

 

そして、原作漫画だけでは飽き足らずブルーレイBOXまで購入しちゃいましたよ。
俺、ブルーレイ購入はほとんどしないんだけどな…過去の「優」評価をした作品であっても半分くらいしか持っていない。作品数で言えば両手で数えられるくらいの数しか持ってない。
(「ボールルームへようこそ」は買うタイミングを逸しちゃったので今後廉価版BOXでも発売されれば買うつもりけど)

 

メイドインアビス」は評価としては「良」評価作品で「優」評価までは行かないのですが、それは「メイドインアビス 烈日の黄金郷」~感想でも語っている様に、「真のエンタメ作品は繰り返し何度でも観たいと思う作品」だと考えているので「メイドインアビス」はその内容の重さ・深さから「良」止まりになってたんですよね。


…なのですが、ブルーレイBOX購入しちゃいました。
やはり決して気軽に繰り返し何度でも観たいと思う作品ではないのですが…、いや、なんか今買っておかないと後悔する様な気がしたので半ば衝動的に買っちゃったんですよね。
ホントここまでの世界観を創り出せる/表現できる作品はジブリ作品級だと考えていて「メイドインアビス」は闇ジブリと言っても良い、レイティングさえクリアすれば世界で戦える?世界に誇れる日本アニメ作品だと考えていますよ。

 


そんな「メイドインアビス」の世界にハマっちゃった俺の自分なりのキャラの解釈・考察、アビスの謎(2000年周期問題等)みたいなのに触れ今後ちょこちょこ上げて行きたいと思います。

 


で、今回は「ワズキャン」について書こうと思うのですが…、
というのも俺は「メイドインアビス」ファンとしては後発になる(アニメ2期放送終了後~になる)ので、
色々とネット記事やYouTubeでの「メイドインアビス」関連の動画等を漁っていたのですが、なんか、どのワズキャンのキャラ紹介/解説を見てても物足りなく感じたのですよね。

 


なのでちょっと自分なりのワズキャンのキャラ考察を纏めたい・述べたいと思います。
(ネタバレに配慮しアニメ放送分のみ…原作漫画10巻までの内容で語りたいと思います)

 


まずは軽くジャブというか…、誰か(ネット記事や動画で)言及しても良いのにな、と感じたのが、
ワズキャンって白笛こそ持ってないけど白笛相当の実力/精神性のヤバさを備えてるよなという事について。

 

いやね、白笛紹介みたいな動画を見てもワズキャンが紹介されてなくてさぁ…そりゃ白笛は持ってないのだけど俺は白笛相当だと考えるワズキャンを枠外でも良いから白笛として扱って紹介して欲しいと感じたのですよね。
ワズキャン/ガンジャ隊がアビスに潜った時代(俺は、約2000年前だと考えている…新しい2000年周期が始まった直後の頃、0~100年の間。その後に世界的にアビスが発見されてから1900年でリコ達の時代へ)は、当然笛の制度もない訳ですが、リコ達の時代より明らかにアビスの情報が少ない中で(犠牲を出しながらも)隊を深界六層?まで導いたその能力は確実に白笛相当だと考える訳なのですよ。
(まぁ新しい2000年周期が始まった直後の頃はもしかしたら原生生物もそんなに湧いてなかったりして(一層~五層は)今より多少は安全に潜れたという事もあるのかも知れませんが)

 

白笛の認定っておそらく深界五層まで潜って白笛(物理)を獲得して地上へ戻ってくるみたいな条件だと考えるのですが、ワズキャンは地上へ戻るつもりはなくガンガン降りって行ったからね…。
もしワズキャン/ガンジャ隊が笛の制度がある時代に居て、深界六層以降へ進むために白笛が必要という話になればワズキャンの神がかり/未来予知の能力で以ってやはり難なく白笛認定を受けるだけの力量があると考えられるのですよね。
そしてその精神性のヤバさはボンドルドとも引けを取らないやはり白笛級だと考えるのです(ボンドルドは呪いを克服する事・地上へ戻る事を考えていましたが、ワズキャンは(戻る場所、帰る寄る辺がないため)さらに深層へ潜れる・耐え得る体を欲していたという違いはありますがね)。

 


ワズキャンが白笛認定されたとして、ナニ卿になるのかな。先読み卿、先見卿とかかしら(ちょっと…先導卿とかぶる感じがしますが)

 

 

で、ここからが考察なのですが、上記でも述べたワズキャンの「未来予知」について。
この「未来予知」という能力、これをどう受け入れるかなんですよね。
この「メイドインアビス」の作品世界はそういうオカルト的な「未来予知」みたいな能力が当たり前に存在する世界なのか、というお話。
(「未来予知」があるなら千里眼サイコキネシス、テレパシーみたいな能力(超能力、不思議能力)も当たり前の様に使えるキャラが他にもわんさか存在する世界……能力物/バトル物の漫画作品の世界観という認識で良いのか?)

 

この「未来予知」の能力をそういうオカルトが当たり前に存在する世界/作品としてメタ的に受け入れる・納得するのか、それとも作品世界の設定として考察するべきなのか。

 


~ワズキャンの「未来予知」~

一応『アビス』という場所は「呪い」をはじめ(遺物の能力等)不思議が満ち満ちている場所なので「未来予知」もアビス由来だと考えると作品世界に則った設定として納得は出来るんですよね。
上昇負荷の「呪い」と共に与えられる「祝福」…それが「未来予知」の能力ではないかと俺は考えているんですよね。
もちろんこれは、ワズキャン自身が以前アビスに潜った事があり深界から戻った時に祝福を受けた、とは考えていません。そうではなくもしかしたらワズキャンの先祖が受けた祝福を隔世遺伝的に受け継いだみたいな事かなと考えています。
(黄金郷の住民は身体に模様(入れ墨)のある人(みたいなもの)というオース原住民の言い伝えから…、もしかしたらワズキャンの顔の入れ墨?も先祖代々のその名残だったりしないかしら、と妄想)

 


一部ではワズキャンのキャラ紹介/説明の中で「未来予知」はマインドコントロール的なものと書かれているのですが、俺は上述の通りアビス由来(祝福)の本物の「未来予知」だと考えています。

 

 

 

~「未来予知」はどこまで視えているのか~

で、この「未来予知」についてワズキャンはいったいどこまで視えていたのか?ですが…、結構先まで視えている様ですね。
おそらくワズキャンは一つ目の「欲望の揺籃」をイルミューイに渡した時点で成れ果て村/イルぶる誕生がまでが視えていたと考えられます。

 

一つ目の「欲望の揺籃」でイルミューイは「子供を産みたい、子供を産める身体になりたい」と願い子供が産める様になりますが…叶った願いはそこまで。産まれてきた子供は生存できない状態でした。
しかし、イルミューイはその後も子供を産んでは亡くす産んでは亡くすの繰り返し…、、、そして「水もどき」で弱って倒れるヴエコ。
そこですかさず二つ目の「欲望の揺籃」をイルミューイへ渡すワズキャン…、イルミューイの新たな/別の「願い」としてヴエコを、ガンジャ隊を救って欲しいとの思惑からですね。

 

 

で、ここからがワズキャンのヤバさというかここまで視えていたのかという点、そしてナナチの言う「状況を選ばされている」という点にもつながるのですが
(おそらくこの「~選ばされている」発言からマインドコントロール説が生まれてるのだと思いますが…俺の考える「~選ばされている」の意味は下記の様な事だと考えています)、

ヴエコが倒れた事で弱っていくイルミューイを更に追い詰めるため~イルミューイの最初の願い「子供」を諦めさせ、新たな/別の願いとして「ヴエコを、ガンジャ隊を救わせる」【願い】へと追い詰めるため~
泣き叫ぶイルミューイの前でまだ生きている子供を取り上げ連れ去るワズキャン(イルミューイも我が子がどうなったのか分かっていると思われる…ファプタにその認識がある事から)、産まれては取り上げ連れ去られ食されて…という事を繰り返され、イルミューイはいつかしか泣き叫ぶ事をやめて「子供」を諦めワズキャンが視ていた未来…イルミューイの新たな願いとしてヴエコを護る村/イルぶる誕生の【願い】を『選ばされる』事になっているんですよね。

 

 

もちろんただイルミューイを追い詰めるためだけではなく隊員たちへの栄養、食料確保のための意味もあったかと思いますが…、一つ目の「~揺籃」を与えた時に既にそこまで見越して色々な意味で「我々の救いになる」と考えて予知した未来へ繋げるための手順を淡々と踏んでいたと想像するとワズキャンの未来予知とその後の行動、精神性のヤバさが際立つ事になるのですよね。。。

 


三つ目の「~揺籃」が発見された時の(正確にはワズキャンが成れ果てた際、村に取り込まれた揺籃ですが)、『これは…見えなかったなぁ』の発言から二つ目の「~揺籃」の結果(成れ果て村/イルぶる誕生)まで、は視えていたと考えられるのですが…、
三つ目の「~揺籃」でイルミューイが願ったのはやはりどうしても諦めきれなかった一つ目の揺籃の願いの「子供」であり、そして産まれても死ぬ事のない「不滅」の【願い】だったという事なのでしょうね。

 


そして二つ目の揺籃は純粋にヴエコのために使われたのでしょう。
三賢は村の外に出ても多少は持ち堪える身体を持っていた様ですが、成れ果て村/イルぶるの崩壊後はワズキャン含めすべての村人は塵になってしまいました。
しかし、ヴエコは成れ果てて息絶えた後も遺体が塵となる事はなく埋葬されているんですよね(埋葬後、時間差で土の中で塵となった可能性も否定できませんが)。

 

ヴエコは人の形を保ったまま人間性も失わずイルぶる(村)/深界六層時間で150年も若さを保ったまま生きている…。
イルぶる(村)が・イルミューイがヴエコを生かした・村での価値をヴエコを護る事に変換されていたと考えられ、その事からもやはり成れ果て村/イルぶるはイルミューイがヴエコを護るために創った・ヴエコはイルぶるにおいて特別な存在だった訳なのですよね。

 


で、おそらくイルミューイは自分を受け入れてくれたガンジャ隊に対しても基本的には好意的な気持ちがあったのだと考えています(特にベラフに対してはヴエコの次くらいには好きだったのではないかと)。
しかし、子供の件があるため受け入れられない・許せない気持ちもやはりあって、そこでイルミューイは子供の件についての怒り・憎しみの記憶を全てファプタへ注ぎ村の外に出す事によって成れ果て村/イルぶるにガンジャ隊を受け入れたのかなと想像しています。

 


そんなファプタの件は予知できていなかったけどワズキャンは冒険を諦めるつもりはなった…いつかリコの様な幼体の探窟家が来ることを信じて疑わず「~揺籃」を使う機会を窺っていたてな感じでしょうかね。
(さすがに2000年先・リコが来る未来を予知していたとは思えないのでね)

 

 

とりあえず今回のワズキャン考察はこんな感じで終わります。

 

次回はアビス2000年問題について考えがまとまったら上げたいと考えています。

 


以下、雑感
物語自体には関係なく別にどうでもよいことですが、
つくし卿は「HUNTER×HUNTER」好きなのかね?
いやね、ファプタ関連のシーンがたまにメルエムを思い起こさせるのよね。
ファプタが自ら腕を引きちぎるシーンだったり、
成れ果て村の住人たちがファプタに対して、メルエムを想う護衛軍の様な感情を抱いているシーンだったり、
成れ果て村の村人たちが自らを喰わせてファプタを回復させるシーンだったり
がそう感じさせたのよね。

 

 

以上