「メイドインアビス」 ~アビス2000年問題についての考察

先日(5月30日)、WEBで漫画「メイドインアビス」最新話(65話)が更新/公開されましたね。
俺は原作漫画を購入したタイミングが良かったんですよね。最新話(65話)が公開される前(~5月29日まで)だったので原作漫画11巻の続き(64話)をすぐにWEBで読む事が出来て最新話まで追いつけましたからね。

まぁ最新話(65話)の内容について語りたい事・考察したい事はあるのですが、前回同様
アニメ視聴者(原作未読者)へのネタバレに配慮して11巻以降の内容には触れないつもりです。

 

で、内容に触れない形で漫画「メイドインアビス」の感想を少し述べると…、つくし卿はどんどん「漫画」が上手くなってる・進化して行ってますね。
つくし卿はもともと大手ゲームメーカーのデザイナーをやっていたので絵/イラストは最初はからプロだった訳なのですよね。

 

キャラクターを可愛く魅せる・カッコよく魅せる構図であったり、絵全体(1コマ内)での構図の描き方は最初の内からバッチリ決まっていて上手いなぁ・綺麗だなぁと思っていたのですがそれはやはり「一枚絵」…、イラストレーターとしての素晴らしさ/上手さだったんですよね。
1コマ1コマを切り取ってみる分には素晴らしいのですが連続したコマの「漫画」としてみた場合、最初の内はちょっと読みにくいと感じる部分があったのですよね。
それが顕著に感じられるのがバトルシーン。例えばレグが常に中心にる様な構図で描かれたりしていてカメラワーク/カットが頻繁に大きく切り替わって流れが掴みにくい・動きが追いにくいコマの「漫画」になっていたんですよねぇ
(レグを描いた1枚絵/イラストとしてみれば正解・良いのですが、連続したコマの流れ「漫画」として見た場合読み難いものになっていたんですよね)。
しかし、巻を追う毎につくし卿が進化していってバトルシーンが読み易くしっかり「漫画」になって行ってる…このつくし卿の進化を見れるのがまた素晴らしいんですよね。
どこかの動画で、アニメの絵コンテを描けるようになりたいと仰ってましたが、つくし卿の創造する世界観で動き・カメラワークを意識した絵コンテが描けるならホント闇ジブリとして第二の宮崎駿も夢じゃないのではないかと考えていますよ。

 


と、漫画についての感想はこれくらいにしてそろそろ本編(考察)に入りたいと思います。


前回の終わりに述べた様に今回は「アビス2000年問題」についての考察となります。

 

考えが纏まったら上げると言ってましたが実はまだ纏まってはいないんですよね。
色々と分からない事が多くて困ってます。

 

例えば「遺物」について。
リコ達(オース民)は遺物を古代の超文明の技術で造られた人工物と認識している?様なのですが…、
確かに干渉器やレグ、そして使用回数が表示される遺物なんかは明らかに人工物っぽい古代の超文明の遺産・オーパーツ的な感じがあります。
しかし、 2級遺物とされているユアワース(命を響く石)…プル石のでき方なんかを見るにアビスの不思議空間によって産み出された天然物もあると考えられるんですよね。
(まぁボンドルドがカートリッジに仕掛けをしていた可能性…人工+天然(アビス呪いを利用した)のハイブリッドタイプの遺物という可能性も捨てきれませんが)
また欲望の揺籃なんかの何でも?願いが叶う卵なんて物を人が自在に(人工的に)造れるとも考えられませんし…、、、まぁおそらく「遺物」は古代の超文明の産物(人工物)とアビス不思議空間由来の天然物が一緒くたにされている感じなのでしょうね。

 


この「遺物」について何が言いたいのかというと、
2000年毎に起きている「何か」で人類がどうなっているのかという事。
2000年毎に人類(文明)が絶滅と興隆を繰り返しているとすると~古代文明も2000年で滅んでいるとすると~、作中で(リコ達の居る)今の時代が「大体2000年くらい」らしいので古代の「遺物」(人工物)の技術レベルにオーバーテクノロジーと呼べるほどの差があるとは考えられないのですよね。
(まぁ2000年前、4000年前、6000年前の時代には奇才・天才が存在して技術革新が起こり今の時代とは異なる文明の進歩・発展をしていた可能性も考えられますが…)


しかし、人類が絶滅(絶滅までいかなくても文明がリセットされるくらいには衰退)してはいないとすると~2000年、4000年、6000年以上の積み重ねてきた人類史があるとすると~作中での描写・表現…電気や飛行船は存在/一般化している、ロボットという概念はある、コンピューターの様なものは未だ無い…等からリアルの現代の歴史と照らし合わせると1800年代後半~1900年代前半くらいの人類史であると考えられ、とても2000年(4000年、6000年)以上の歴史・文明・技術がある人類とは思えないんですよね…、やはり2000年毎に人類がほぼ絶滅or文明がリセットされる程の何かが起きていると考えられるのです。

 

2000年毎に起きている「何か」で人類がどうなっているのかが分かれば考察も捗ると思い「遺物」に注目してみましたが結局は人工物と天然物が一緒くたにされている感じなので何も分からんという結論になってしまいました。
(遺物が全てアビス由来の天然物と考えられるならば2000年で人類文明絶滅していると結論付けても良かったのですがね…)

 

 

で、次に注目したのが「星の羅針盤」(これも「遺物」の一つではあるのですが)。
作中での描かれ方からも重要っぽいアイテムである事が感じられると思います。

 


~「星の羅針盤」について~

オース外からはアビス(大穴)のあるオースの場所を指し示すため傾きがあった「星の羅針盤」、
オース/アビス内では針が屹立し常にアビスの底を指し示す様な形となっています。

 

で、この「星の羅針盤」で注目すべき事象…それは「星の羅針盤」の所有者あったヴエコ、リコ共に『早い段階』でこの遺物が手元から離れている/失くしているという事なんですよね。この『早い段階』というのが考察する上で重要なのですよね。

 

ここで言いたい事は別に遺物「星の羅針盤」に意思があって役目を終えたので所有者の手から離れたという事ではなく、メタ的なお話/考察になります。


ヴエコは大穴に入る前に…、リコは深界一層で…といずれも浅い階層・早い段階で「星の羅針盤」が手元からなくなり『以降の針の傾き』が確認できなくなるのです。
早い段階で「星の羅針盤」が手元からなくなるメタ的な意味…それは「星の羅針盤」を所持し続けているとアビスの謎/秘密に関わる部分が分かってしまう・描かないといけない羽目に陥る…、
故に早々に手元から離れさせたという作者都合・メタ的視点からの考察となります。

 

 

おそらく「星の羅針盤」の針はアビスの『中心』を指し示していて『中心』に近づけば近づくほど針が傾いて行きどこかの段階で針の上下が入れ替わる、のではないでしょうか。
深界六層で冒険を終えていたヴエコの「星の羅針盤」も早い段階で手元からなくなっている事(黄金郷で「星の羅針盤」の傾きを確認されると都合が悪い)から、深界六層あたりでハッキリ分かるほどに傾きが大きくなるか深界六層or深界七層あたりで一気に針が上下逆転する(深界六層or深界七層がアビスの『中心』)という事なのかもしれないと考えています。

 

アビスの『中心』が分かる(仮定)この遺物「星の羅針盤」の意味、それは『中心』まで辿り着いたらあとはもう戻る事も先へ進む事も出来ない~進むも戻るも同じ上昇負荷(人間性の喪失or確実な死)に襲われる~冒険の終わりを意味するものかな、と。(呪いの回避手段があったりレグであれば冒険を続けられるでしょうが…)

 


『中心』と思われるより先…深界七層以降、深界極点が描かれていますが以降はリコ達が下降してきたのとは逆順で深界六層、五層、四、三、二、一層、大穴(反対側入り口)みたいな構造になっているのではと妄想。
そしてそれはちょうど上下が対称になっている砂時計のような形になっているのではないか…2000年周期で上下入れ替わる、2000年を計る砂時計になっているのではないかという考察・妄想です。

 


2000年周期で上下が入れ替わる…これは別に惑星そのものが回転するとか地軸が逆転するという事ではなくて、リコ達が出発したオースの大穴が閉じて反対側の大穴が開く、みたいなイメージかなと考えています。
で、大穴が開いた際に近くの物が飲み込まれた結果が深界三層の囚われの海賊船だったり黄金郷の遺跡であったりするのかな、と。。。
またその大変動の余波で文明がリセットされる程の災害が起きて人類文明が破壊されるのかな…。


、、、という「アビス砂時計」説を考えています。

 

あと、つくし卿がインタビューやコミックス1巻あとがきでアビス(大穴)の構想は元々は仕掛け絵本であったと話されていた事からも、上下をひっくり返して別の物語が始まるみたいな構想の仕掛け絵本なら有りかもな、と考えています。

 


と上述の様に「星の羅針盤」の早期喪失のメタ的意味からの「砂時計説」、そして大穴の開閉による大災害みたいな感じでアビス2000年問題を考察してみました。
(おそらく次の2000年を迎えるためには穴の中心に居るのが一番安全で、そのあとに穴から地上へ出るために呪いの克服が必要だと考えたのかね、ボンドルド卿は)

(あと前回の補足で…ワズキャン達・ガンジャ隊が約2000年前の人物であると考えた理由は、2000年以上前(4000年、6000年以上前)~2000年周期を跨いでいる~と考えた場合では外の世界での大変動・大災害を何かしら感じているだろうはずなのに誰も(ワズキャンやヴエコ、ベラフ等も)何も語らない事から大変動・大災害を「体験」していないのだろう…ガンジャ隊の物語は2000年以内の出来事だろうと考えていたからです…、、、まぁもし深界六層がアビスに中心であったならば一番変動を感じない場所ではあったかもしれないですが、ね)

 

 


ここでちょっと「誕生日に死ぬ病」について考えてみたいと思います。
おそらくこれは「2000年」が近くなった事で表れ始めた病?だと考えられます。
原因は何なのか、を考える事にあまり意味はないと思います。
病気・ウィルス等の病状の進行に関係なくちょうど「誕生日に死ぬ」という事から考えてこんなオカルト・不思議現象はアビス関係だとは考えられますが…そこまでですよね。
情報がないため妄想するしかなく、また原因が分かったとしてもどうする事もできないと思われます。
(まぁ妄想するだけなら、「2000年」が近くなった事でアビス内に変化が起こり「呪い」が地表に漏れ出てきて耐性の低い者が命を落として行ってる、とか
今まで見た事ない様な原生生物・サカワタリが地表付近に現れたという異変によって「呪い」が撒き散らされている…サカワタリの巣は深界七層付近にあるらしいので深界からやってきたサカワタリが深界七層の呪い「確実な死」を地表まで持ってきて撒き散らしている?(危険度:空前?)みたいな妄想もできますが…)

 


そしてこの「誕生日に死ぬ病」と大きく関わってくるのが「お祈りガイコツ」。
「誕生日に死ぬ病」の原因が分からずどうしようもなければ祈るしかない…というオーゼンの言葉。
メイドインアビスの作中で登場人物が結論の様に語る(推察する)事はそのまま受け取って良いと考えています。
これは、イルぶるでのワズキャンの思惑(リコに欲望の揺籃を使わせて新たにリコ村を創り冒険の続きに出る事)をリコが言い当てた(推察した)のもそのまま受け取って良い(リコが考えた通りの事をワズキャンは目論んでいた)と考えられる事からも、作中で登場人物が結論めいて(「~こういう事だろう」と) 語る事柄はそれが真実・正解なのだと思われるのです。

 

つまり「お祈りガイコツ」も誕生日が迫って来てどうしようもなく祈った状態で誕生日を迎えそのまま亡くなり埋葬された(アビス信仰)の結果というのが真実・正解(オーゼンの言葉通り)なのでしょうね。

 

 

しかしここでアビス=砂時計説との矛盾というか整合性が取れない事が出てくるんですよね。

「お祈りガイコツ」は2000年前、4000年前、6000年前のが発見されているんですよね…。
砂時計説の、2000年毎に上下が入れ替わる/大穴が入れ替わるという考えの場合、「お祈りガイコツ」の発見は2000年毎ではなく4000年毎になってしまうんですよね。。。

 


と、ここまで考えての結果・結論が…結局分からん!となってしまい、考えが纏まらなかったのですよね。
早期喪失のメタ的視点から面白い考察が出来たと思ったのですが…「星の羅針盤」の考察をやり直さんといかんのかな…。

 

 

 

一番最初にメイドインアビスを観たときの考察・妄想では、アビスはそのまんま地獄…現世での肉体が清められ(消滅)その後に魂すらも洗浄される~肉体も魂も真っ白に漂白される~生まれ変わるための装置的な物かなと考えていました。
(別に何の根拠もなくただの思い付きでそう考えていました…この説の場合は仕掛け絵本の構想とも合わない)


その後、メイドインアビスの沼にハマってからはああでもないこうでもない悩まされてますよ…。

アビスの階層が2000年毎に増えるというのも考えましたが(他の人も考察されている様ですが)それだと2000年前、4000年前、6000年前の「お祈りガイコツ」が全て深界一層で発見されている説明として弱いんですよね(これがもし一層に2000年前、二層に4000年前、三層に6000年間の「お祈りガイコツ」があれば強く推せるのですがね。…この説の場合は仕掛け絵本の構想とは合うけども…)。

 

 


またアビスの呪いから「メイドインアビス」のテーマを考えそこから考察する事もありました。

深界一層:軽い目まいと吐き気
深界二層:重い吐き気と頭痛、末端の痺れ
深界三層:二層での症状に加え、平衡感覚の異常に幻覚と幻聴
深界四層:全身に走る激痛、および全身の穴からの流血
深界五層:全感覚の喪失と、それに伴う意識混濁、自傷行為
深界六層:人間性の喪失もしくは死
深界七層:確実な死

 

この呪いを見たとき、人が生きていく上で襲われる苦痛、をふと思ったんですね。
それぞれの階層は十代、二十代、三十代、…と読み替えて各世代ごとの苦痛を表しているのかもと考えたんですよね。

 

深界一層…十代は学校というコミュニティーでの苦痛、

深界二層…二十代では社会に出てからの苦痛、

三、四、五層…三十代、四十代、五十代では社会の中で肉体的にも精神的にもボロボロになる程の苦痛、
そして六層…六十代ではとうとう精神が壊れたり若しくは認知症になったりという人間性の喪失、
最後に七層…七十代(七十代と言っていますが八十、九十、百も含めて良いかも)、寿命による確実な死

と考えられ、とすると「メイドインアビス」のテーマは『生きる事は辛いことだよ、若い内はやり直せる・引き返せるが年を取ってくるとだんだんとやり直すことが難しくなる…、でも生きて行くしかない、積み重ねだ』みたいな事かなと考えたのですが…、まぁそこからアビスの謎・秘密が分かるという事はないかな…、と結論(…仕掛け絵本の構想ともつながらないし)。。。

 

 


あとはつくし卿の別作品「スターストリングス」も考察の参考になるかと思い読んでみました(pixiv)。
で、読んで思ったのはなんだか宮沢賢治の作品っぽいなと感じたのですよね(ハッキリと説明はできないのですが何となくの感覚です)。
以前読んだ宮沢賢治の作品を読み返したり、まだ読んだ事のない作品を読んでみようかしら…もしかしたら考察の参考になるかも。。。と思ったりしています。

 

 

 

で、アビス2000年問題について結局は分からない/考えが纏まっていないのですが、こういうのはやはり色々と考察しているときが一番楽しいので今後の展開(原作漫画やコミックスで明かされる新情報)を待って考え続けていきたいと思いますよ。

 

 

 

以下雑感

 

次回の予定は未定…64話、65話の内容に関する考察ものを考えてはいるのですが…。

 

他には、「ボンドルドが受けた祝福」について、とかもありますが…。

(どんな祝福を受けたのか?)

また、上昇負荷の呪いと共に受ける祝福…一から三層の様な上昇不可の軽い呪いでも祝福を受けられるのか?等も併せて(軽い祝福だろうとは思うけど…)

 

 

以上