ドラマ脚本、原作改変問題について

タイトルのドラマ脚本、原作改変問題が原因で漫画原作者さんが自死されました。
件の作品を読んだ事もなければドラマを観た訳でもない、原作者さんの漫画(他作品含む)も読んだ事はないのですが…、
小さい頃から「漫画」(全般)というものに触れ親しんできて楽しく読んで育った自分としては、今回の件はドラマ製作側、テレビ局側に対しムカつく、許せないという感情ですね。
ただ今はそれよりも先になぜ自死を選んでしまったのかという悲しさの方が強いです。。。

 

 

以前「原作改変・キャラ改変について」感想を述べている様に自分は基本的には原作尊重派です。


原作ありモノの実写映画化・アニメ化などは、人気のある原作を映像化する事でその原作に付いてるファンの集客を見込んでの事だと思いますがその原作ファンを裏切るような事はやって欲しくないという思いから基本的には原作改変はご法度でやるべきではないと考えています。

 

しかし、尺の都合や予算の関係で全部が全部原作通りという訳にはいかないという事も理解はします。
例えば、時間/尺の都合で、原作では時系列の異なる複数のエピソードを一つのエピソードとしてまとめて構成したりだとか、予算(経済的・時間的)の都合で、原作では海外が舞台だったエピソードを日本に置き換えたりだとか…、そういった「エピソード」の端折りや纏め(要点、物語上必須な要素の抽出)、「映像表現」(撮影場所)等の多少の改変は許容できても主要キャラクター設定改変、セリフの変更(このキャラクターはこんな事言わないの様な)は許容範囲外です。

 


エピソードの端折り/カット、纏めについて許容している作品の例(感想)として下記、
アニメ「転生したらスライムだった件 第2期 第1部、第2部」 ~感想を挙げますね。上記感想内では無駄に長いだけ(と感じる)会議回が6話くらい続く(1クールの半分の話数を費やす)みたいな造りに対し苦言を呈していて、「作品」を面白くするため(1話内で盛り上がりどころを作るために)会議の内容の要点を纏めて短くしろ…脚本家の仕事は原作をただ転記するだけの仕事ではないだろ、という旨を書いていますが、もちろんこれは原作を変えろという意味で述べているのではありません。あくまで要点を纏めろ、という事です。
既に物語が完結している作品であれば、脚本家/製作側だけでも今後の物語展開でどこが重要で必須かの判断は付くはずで尺などの関係で止むなくカットする場合(原作者の負担を増やさないという意味で)ある程度は独自にカット・纏めの判断をして製作できると考えますが、原作未完の作品については絶対的に原作者の判断を仰ぐ必要があるでしょう…。

 

その上(未完結作品でありながら)さらに登場人物のキャラクター(性格)やそのセリフを変えるなんてまずありえない、信じられない。
キャラが変わってしまう事でそのキャラから出るセリフの言い回し、込められた意味、重みが変わってくる、ひいては今後のお話が大きく変化する恐れがある事が考えられないのでしょうか。
主要キャラクターやそのセリフの変更/修正なんてそれこそ絶対に原作者を交えて行うべきレベルになるのに、原作無視/軽視でドラマ製作側、テレビ局側の手前勝手な都合で「お借りしている/お預かりしている」原作を雑に扱う/安易に手を入れるという事、そしてその結果…、、、、ホント一漫画ファンとして許せないと感じ、自分は絶対的に漫画家/原作者側を支持する立場になります。

 

 


これも以前「原作改変・キャラ改変について」にて語った事ではありますが、
キャラクターはプロットと共に物語の重要な構成要素でありそれを安易に変更する事/上澄みだけを掬って自分の色を後から足す様な事は、明らかに映画やドラマを作る以上に時間をかけて(何年、何十年と)作品づくりをしている原作者に対してあまりに失礼なのですね。
漫画を例にとれば、キャラクターのセリフ一つ、漫画のコマの構図一つとっても一話内で収めるため/一エピソード内で魅力をいかに効果的に見せるためにと苦心を重ねて構成して描いているはずで、ドラマ製作側、テレビ局側が本当に本物のクリエーターなら/同じクリエーターとしてそこを理解できていたら簡単に手前都合で変えるなんてとてもできないと思うのですが…。。。

 

中には本当に原作(漫画や小説)が好きで熱い思い持って作品の映像化を目指したプロデューサーや製作スタッフが居るのかも知れませんが、今作(問題となっている作品)で言えば、作品愛などはなくただ何となく話題の原作みたいだからな感じで映像化された、製作スタッフも雇われ監督、脚本家みたいな集まりだったのでしょうね(作品愛があれば、作品に対するリスペクトがあれば今回の様な事は起きなかったはず)。

 

 


(今件とは直接は関係ありませんが、以前上げた感想
実写映画「バクマン。」 ~感想この映画「バクマン」も酷かったですね。そこ変えちゃダメだろ、キャラを分かってない/理解していないと感じ、作品愛がない、リスペクトがないからそういう事できるんだと思いましたね)

 

 

 

 

 

で、今回の件の関連で思い出したのが(原作者尊重、リスペクトという意味で)、
以前ちょっと話題というか炎上騒ぎとなった「はじめの一歩」を描いている漫画家・森川ジョージさんのアニメータサイン色紙問題。

当時の炎上騒ぎは知っていて特にこの日記等で話題にする事はなく静観していたのですが…、自分は今回の件と同様、当時も漫画家さん側・森川ジョージさんを支持する側で何故炎上しているのか(何故森川さんが叩かれているのか)理解できない思いで見ていましたよ。

 


この問題の根本も今回の件と同様で
「お借りしている/お預かりしている」原作に対する作品愛があるか、作品に対するリスペクトがあるかという事なのですよね。

 

あくまで「原作者の作品」を借りて/預かって映像作品を製作している訳だから、作品原作者の意見を尊重/伺う/相談するのは至極当然の事だと考えています。
このサイン色紙問題で言えば、これってたしかなんか海外のアニメイベントでアニメスタッフが現地の人に書いたという事なのですよね。
おそらく森川さん(原作者サイド)も海外でイベントがある、「はじめの一歩」も作品の一つとして参加するみたいな事までは聞いていたと思います(さすがにまさか原作者に無許可で、原作者の与り知らぬところで勝手にアニメ製作側が独断でイベント参加を決定したとは考えていませんが…)。しかし、そこから先…アニメーターが「~一歩」のサイン色紙を書いて良いか、までの確認は原作者・森川ジョージさんにしていなかった(想定していなかった)のかなと考えています。

 

森川さんが仰りたかったのは(真意は)、俺の知らない所で勝手に俺の作品を扱わないでくれ…やるのなら確認してくれ、という事だと思っています。
アニメであれドラマであれ映画であれ映像製作側に、作品を「お借りしている/お預かりしている」という原作に対する作品愛、作品に対するリスペクトがあれば原作者の与り知らぬ所で勝手な事はできないはずで、このアニメーター色紙問題についても、もし事前に森川さんに「海外でイベントがある、サインを求められた場合は書いても良いか」という確認ができていれば(その上で森川さんが了承していれば)、何も問題なかったはずで、一番の問題は「俺が書いた覚えがない…俺が許可した覚えもないサインが出回っている」という事だと考えています。

 


サインを書いたそのアニメータの方は「別に(名前を騙る訳でもないし)サインくらいいいだろ」という認識だったのだろうと思いますが、その認識に作品を「お借りしている/お預かりしている」という原作に対する作品愛、作品/原作者に対するリスペクトがなかった・欠けていたという事が根本原因だったのだと考えていて本当にその作品が好きで(愛を持って/リスペクトを持って)作品に携わっていたのだとしたら(もし自分がその立場だとしたら)原作者を軽んじる様な行いは自分だったらできないですね…。
(もしその場でサインを書く事になっても(断れない雰囲気だったとしても)、後日許諾を得る、確認する、事後報告するくらいの事をするべきだったと考えますね)

 

 

そういう意味で、
作品を「お借りしている/お預かりしている」という原作に対する作品愛、作品/原作者に対するリスペクトがあってしかるべきと考える中で何故森川さんが叩かれているのか)自分は理解できないと当時から思っていました。

 

 

 

今回の件にしても、その他の原作改変作品にしても、また森川さんのアニメータ色紙問題にしても作品を借りる以上・預かる以上は原作に対する作品愛、作品/原作者に対するリスペクトを持って接すべきで時間的経済的制約上、止むなく変えるのならば原作者が納得の上で変えるべきだと考えています。

 

 

ドラマ製作側・テレビ局側は「テレビで放映してやるから(テレビという大メディア様が作品を扱ってやる/取り上げてやるから」「原作の良い宣伝になるだろ!原作がますます売れる事になって良かったな!」という認識から「だからグダグダ文句言うな」と上から目線、原作無視/軽視になっているのでしょうね。

 

ホント作品愛、リスペクトのない人には映像化に関わって欲しくないですね

(最悪、愛やリスペクトがない・持てないならせめて原作をいじらず忠実に作って欲しいとだけ願う…)。

 

 


今回の問題で自死された漫画原作者さんには死という選択はして欲しくなかった、一漫画ファンとして本当にただただ悲しいです。
原作者さんは自分の死がどういう影響を与えるか考えられていたはず…。死の選択を肯定するつもりはないのですが、今回の問題の原因にドラマ製作の件があった事は誰の目にも明らかであり原作者さんの気持ち・メッセージを(誠に勝手ながら)汲むべく(決して死を肯定したい訳はなない、自死に意味を持たせたなくはない、生きていて欲しかった)今回の原作改変問題について書きました。

 

 

以上