アニメ「僕らの雨いろプロトコル」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「僕らの雨いろプロトコル」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


漫画や小説が原作ではないオリジナル作品みたいだけど…、色々とボロボロな作品でしたよ。

 

まず、設定が重い…妹の足と父親の事故設定は要らんだろというかバランスが取れてないと感じるのよ。

シリーズ構成の高山カツヒコさんってアニメ「オーバーテイク!」のスーパーバイザーというポジションで俺が「オーバーテイク!」で唯一難点と考えている(その難点さえなければ確実に「良」作品であったのに…)あの東北震災設定を入れ込んだ張本人みたいだけど…、、、なんだろ高山カツヒコさんは(「オーバーテイク!」の震災設定にしても今作「僕らの雨いろプロトコル」の妹の足の設定にしても)シリアス設定・重い設定さえ入れれば物語に深みが増すと安直に考えてる訳ではないよね?


なぜ必然性がない/納得のないシリアス設定を入れ込もうとするのかね?

 

いやね、別に「シリアス設定」(妹の足)と「テーマ」というか「舞台設定」(eスポーツ)とのバランスが取れていれば良いけどさぁ、取れてないからね。シリアス設定の方が重く完全に傾いちゃってるから。

 


この作品って「eスポーツ」がテーマ/主題に在るというか作品の芯の設定として在るのですが…、妹の足の治療・リハビリのために主人公がeスポーツのプロゲーマーを目指すってアホかという全く納得の無い設定・展開なのですよね。

 

これは奇しくも「おとなりに銀河 ~感想」で述べていたことなのですが、

 

>なんか今作の様な設定~中学生や高校生の年齢の主人公が家族(親や幼い兄弟)を養う必要があるみたいな設定~でよくあるのが、一攫千金を狙って・大金を稼ぐために主人公がタレントやアイドルを目指したり、またはプロスポーツ選手を目指したりプロ棋士を目指したり、はたまた漫画家や小説家を目指したりする、、、という様な設定の作品。
>いやいやいや、家が大変な時に(主人公が家族を養う必要がある様な状況下で)そんな博打みたいな事すんなよ…、手堅く公務員かなんかを目指せよと思う訳なのですよね。

 

全く上記と同じことをまんま言いたいのですよね。
「妹足の治療・リハビリ」にどれくらいの費用・期間が掛かるのか分かりませんが(作品視聴途中は心因性云々は分からなかった)、プロゲーマーって10年20年30年と安定して続けられるものではないでしょ?(知らんけど)
たとえプロに成れたとしてもいつまでもトップ/プロとしての実力を維持できるものじゃないでしょ?下手すれば数年で契約を切られ無職になる可能性もあるのに…、それよりも安定した公務員なんかで定年まで30年40年と確実に給料もらえる方が断然良いというか妹の為だと思うのだけど、、、と納得がないのです・妹のシリアス設定とのバランスが取れてないと感じるのです。

(バイト先を救うためにと今回だけ期限を区切って/この大会が終わるまではと主人公が線引きしていれば良かった・納得はあったのですが、学校の成績落としてまで・バイト先でぶっ倒れてまで・母親から博打は打つなと諭されてまでダラダラと続けてなし崩し的にプロゲーマーを目指している主人公に納得がないのですよね。

なんだろ?妹の足の設定の様なシリアス設定がないとeスポーツ始めちゃダメのか?違うでしょ?そんな設定無くても始められるだろうになぜシリアス設定を入れてバランス崩して物語を構成したのか?シリアス設定を入れる事で安易に感動、ドラマを造りたかったのだろうね、と構成に納得がないのですわ)

 


また、eスポーツ・プロゲーマーのリスクついで述べると…、主人公のライバルキャラの裸カレー吸い男…。
「僕の世界に来い」とかイキってる勘違い野郎のだっさい奴なのですよね…。お前イキッてるけど企業に雇われてんだろ?企業から契約してもらってる立場なんだろ?どこかのメーカーが作ったゲームをプレイしてどこかの企業にスポンサーになってもらってるんだろ?
スポンサーから契約切られたら終わりなのに、自分でクリエイティブ何かを産み出している訳でもないのに「僕の世界」とか言ってるのが勘違いも甚だしいというか観ていてイタいというか激しくダサいのですよね。

あとこのカレー吸い男は20年先30年先も同じ様にゲームで活躍が続けられると考えているのか?有り得ないだろ…、お前自分の未来見えてねえんじゃねえの?と設定メチャクチャの恥ずかしいイキリキャラに納得がないのですよ。

 

 

 

続いて、ゲームの見せ方、強さの見せ方の問題について。

物語序盤チームメイトが加わる話でアキバ系と狐忍者が当初はコイツはスゲーと鳴り物入りで入ってきたのですが…、試合が始まってみると全然凄くない・活躍しないというか主人公含めてチームメイトはプロゲーマー目指せるほど強いのか実力があるのか全く分からんのよね。何が得意とか素人ゲーマーとはどこが違うとかを描かないから主人公たちは強いのか強くないのか、素人に毛が生えた程度の実力しかないのにプロを目指すってイキッて勘違いしてるだけの主人公達なのか全く分からんのよね。

プロ(並の実力を持つ者)と素人の違いをしっかり描いて納得を作って欲しいわ。

 


あと納得の無さついでに述べると、
あの最終話の最後の展開について…精神的に・気持ちで勝つとか根性論で勝つみたいなのではなくて戦略に基づいてロジカルに勝利して納得を作って欲しかったわ。
(更に言えばストレート負け直前からの大逆転展開も飽きたわ。ドラマを造りたいがための・逆転展開ありきの大ピンチ状況設定の脚本に萎える)

 

 


他に細かい所で言えば、
主人公とヒロインの三角関係が中途半端。展開を匂わせておいて結局三角関係話は展開せず…なんだよそれ。だったら最初からやるなよな、尺の無駄だろ、話がとっ散らかるだろ、とその構成、物語展開に納得が感じられないのです。

 


あとは、作中のゲームの映像について。
物語導入の最初の1話は主人公が幼い頃の「過去」の映像だからゲーム映像も粗い・一世代前くらいのタイプのゲームのかと考えていたのですが…、数年(5~6年?)経った後/現在もゲーム画面のクオリティ上がってなくてびっくりだわ。好意的に解釈するなら作中作(アニメ内ゲーム)であるので分かり易く区別するために(例えばアニメ作品内で作中作として「アニメ」を表現する場合に意図的にタッチを変えるのと同じ様に)
敢えて粗い映像にしているのかなとも考えたのですが…、観ていてそんな感じではない、ただ造りが粗いだけだろうなと感じました。この作品の舞台って今より二昔前って訳じゃないよね?eスポーツをメインに扱っているならもう少しゲーム映像頑張らないと…。。。

 

 

 

と、設定、テーマ、キャラ、物語展開、構成、映像と諸々ボロボロな残念な作品でしたね。
色々と書きましたがイライラするほどではなかったので
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

 

以上