アニメ「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


アニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」(以下「はめふら」)で悪役令嬢が一つのジャンルになっているのを知りましたが、
今作「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」(以下「~ラスボス」)を観て(悪役令嬢物は「はめふら」と今作「~ラスボス」の2作しか知りませんが)既にジャンルとしては終わっている…というかそもそも「悪役令嬢」はジャンルに成り得ないなと認識しました。

 

その原因はやはり悪役令嬢という「ゲームの設定」では話に幅がなく広がらないため、なんですよね。
「ゲームの主人公を陥れる悪役令嬢に転生してしまったためにその破滅ルートを回避するよう奮闘・立ち回るお話」というテンプレストーリーから逃れられないんですよね。
(あと考えられるのは、逆に悪役を徹底的に極め正ヒロイン(ゲームの主人公)を完膚なきまでに陥れ破滅ルートを回避する展開、くらいではないでしょうか)
「なろう」の一大ジャンル・「異世界転移/転生もの」では主人公が人外であったり、日常ほのぼの系であったり、悪役主人公であったりと幅が広がるのですが、
「悪役令嬢」役という『ゲーム設定上の縛り』があるとどうしても幅が狭まっちゃうのですよね…だからそもそもジャンルに成り得ないのですよ。
(まぁ「悪役令嬢もの」も「異世界転移/転生もの」の一つではある訳ですが…)


「はめふら」(1期)の頃は新鮮味を感じ面白い(「はめふら」感想)と思ったのですが、「はめふらX」(2期)で既に、これは蛇足で駄作だなと感じた訳なのですよ(「はめふらX」感想)。

これは「はめふらX」(2期)にも、そして今作「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」にも同じ事が言えるのですが、ゲーム設定・展開上での悪役令嬢の破滅ルートを回避した後の話(「~ラスボス」で言えば5話以降のお話)の蛇足感がどうしても否めないんですよね…。やはりそれはゲーム上の正規ルート(悪役令嬢破滅ルート)には悪役令嬢は存在しないため、悪役令嬢が存在しないはずの「その後のストーリー」にどうしても取って付けた感があるのですよね。
今作「~ラスボス」も5話まで(おそらく原作1巻まで?)はまぁ普通に観れたのですが、以降はやはり蛇足感が強いんですよね…。

 

あと、今作「~ラスボス」の内容についてもう少し語ると、
主人公が自身がゲームの悪役令嬢に転生している事を認識するタイミングは破滅フラグが立ってから、になるのですが、
なんか違和感というか疑問なのが破滅ルート回避のために協力してくる仲間が既に悪役令嬢の周りに結構居るんですよね…。
前世の記憶・ゲーム知識等を持っていない時点で既に悪役令嬢なのに人望厚いキャラになっていたみたいでそこに違和感(悪役令嬢なのに性格悪い訳ではないという設定みたいなのがよう分からん)を覚えるんですよね。
なんか最初から都合が良く便利な仲間が揃っているなぁというか、悪役(令嬢)という設定なんなの?と疑問なのです。

 


そして、この作品に限らずの事なのですが…そもそも「ゲームの世界」へ転生ってなんなの?
ゲームって人が作ったプログラム、データの世界よね?その中に転生って意味が分からんのよ…納得がないのよ。。。
もし真に「ゲームの世界」っていうのなら主人公以外の人間(NPC)はプログラムされた言葉以外は喋らない、とか徹底してもらわないと全く納得がないのよ。

 

または「ゲームの世界」への転生というのが主人公の思い込み、というか主人公が現世で今際の際に見た邯鄲の夢の様な一瞬の妄想の出来事であった、とかならまだ納得しますね。
しかし、その妄想の中に他者/別の転生者等が居た場合は主人公の今際の際に見た邯鄲の夢設定では説明できなくなるのですがね。。。

 

 

この「ゲームの世界」へ転生について俺なりに納得できるように考えたのが「はめふら(1期)」感想内で語った事なのですが、、、
・主人公が転生したのは「ゲームの世界」ではなかった(どこかに「元々存在している」『異世界』であった)
・主人公の知っているゲーム世界と酷似している(キャラクターやストーリー展開がゲームそのままである)理由は、
その「元々存在している」『異世界』からの転移/転生者が現代日本で自分が過去に見聞きした事を基にゲームのキャラクターやストーリを作ったから
・つまり主人公はゲームを作った(ストーリー、キャラクター原作・原案者の)現代日本へ転移/転生してきた元異世界人の過去の異世界へ転生された


と考えるとゲーム世界への転生も納得できるんですね(ゲームだと思っていた実は存在した異世界(過去)への転生だった)。

「ゲームの世界」なんて意味の分からない・訳の分からないものではなくしっかり納得を作って欲しいね…。

 


で、話を「~ラスボス」へ戻すと、
主人公や魔王、その他サブキャラも中身を感じないキャラなのよね。
少なくとも主人公と魔王のキャラはしっかり描いて欲しい…この二人は本当に心底惹かれ合ってるのか(主人公側は特に)納得がない・足りないのよね。
魔王編を5話までではなく1クール丸々使ってでも主人公のキャラ・心の変遷を丁寧に描いた方が良かったと思うよ…。


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上